Quantcast
Channel: てつさんの道楽モノ日記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 788

春まだ遠く。

$
0
0
日も暮れて、職場から自転車で帰っている途中


ヨボヨボあるいているお爺さんを追い抜きました。


何か嫌な予感がしてUターンして戻ってみると


横断歩道や信号もない、車がバンバン走ってる国道1号線を渡ろうとしているではありませんか


おい!爺ちゃん!!!


思わず叫んで呼び止め、歩道に引きずり戻しました。


何やってんの!??と聞くと


いやー道に迷ってしまい困ってるんだよ…。と言うではありませんか。


今日は何月何日か分かりますか?と聞くと


分からない…。と


住所も電話番号も分からない。


これは困ったな…。と思い、近くの公園に連れていき、警察に連絡して迎えに来てもらう事にしました。





早く帰りたかったですが、警察が来るまで待っててあげようと思い、ベンチに腰掛けてお爺さんとお話することにしました。


お爺さんの年は75才。独り暮らしである。


私がヒアリング出来たスペックはこれくらいでした。


平昌みた??


爺「見たよ。」


何の種目が印象に残った?


爺「んー。ほら!氷の上で踊って表現するやつ。」


フィギュア?


爺「そう!フィギュア」


誰が印象に残った?


爺「人の名前覚えきれないなぁ…。ほら!あの…。ほら!」


伊藤みどり??


爺「ちがう!男の…。」


羽生結弦?


爺「そう!羽生!彼は発言もしっかりしてる!」


失礼ながら、ちゃんと分かってるんだなと思いました。


ふと


爺「今日ね…。彼女とデートしてたんだよ。」


えっ!?


彼女いくつなの??


爺「年下だよ。65歳。今日ね、焼肉デートしてきたんだよ。」


ほうほう。


爺「彼女がさー、あまりにも注文するもんで、頼みすぎだって注意したら怒っちゃってね。」


うんうん。


爺「そんで喧嘩して彼女帰っちゃったんだよ。全く気が強くて仕方がない。」


まあ最近の女子って強いからねー。


そう返しながら、最近の?いや戦後の?いつの時代も女性って強いんだな…。と思いつつ、ウンウンと相づちを打っていました。


爺「だから彼女は結婚出来ないんだよ。まあ俺も独身だけどさ…。」


聞くと彼女もお爺さんどちらも結婚経験がないとのこと


爺「どっちも初婚だからさ、私もさー…こんな年になってなかなか踏ん切りつかなくて…。そろそろ決断しなきゃいけないんだけど。」


なんてラブロマンス!!


例えこのお爺さんの話が創作であっても構わない!お爺さんの恋の相談が聞けるなんて、なんて素敵な夜なんだ!


最初は面倒くさいなぁ…なんて思いながら接していた私ですが、何だかテンションが上がって来ました。


爺「でもさー。先も短いし、このまま生きてても何も良いことないから…。」


そんなことないよ!!彼女待ってるよ!!まだワンチャンあるって!爺ちゃんのプロポーズ待ってるよ!!


精一杯お爺さんを励まして


駆けつけた警察官に速攻引き渡しました。


別れ際に


「爺ちゃん!彼女と早く仲直りしなよ!」と声をかけると


何言ってるんだ?と言わんばかりな表情で私を見る警察官と対照的に、お爺さんはニッコリと微笑みました。


75歳まで私は生きているか分かりませんが


75歳の時にこんな風に恋していたら素敵だなぁ…。と


ぼんやり思いながら、自転車を漕いで家路に向かいました。


春は近い


人生は案外長いのかも知れません。


ではでは。


てつさん公式Twitter。


てつさん非公式インスタ。









Viewing all articles
Browse latest Browse all 788